写真:藤田峠から富岡市を

晴れても降っても図書館


ここは、お気に入り文庫の供養系サイトです。

私の停滞という進化をびっくり箱にした「晴れ降りワールド」へどうぞ!



タイトル 著者 出版社 発行年
誰も知らなかった
 よしだ拓郎
山本コウタロー ペップ出版 75年3月 第15刷
写真:表紙

 話題の野外コンサートin「つま恋」。これに姉2人が行ってきた。
 県内のたくろうオタクの人がツアーを企画し、バスでの強行軍。以下はその模様の聞きかじり。

 観光バスは当地を未明に出発、ゆっくり寝てくつもりの2人は大きな間違いに気付いた。何と、出発から間もなくコール・ レスポンスの練習開始。まだ夜も明けない朝の4時・5時。50代半ば以上のお父さん・お母さん方が、「たくろうコール」の練習を してる。
 立ち上がって、股踏ん張って、バスが揺れると横の小父さんの薄頭にしがみつきながら。
 すれ違う新聞配達少年は、昨今の諸々事件の責任が誰にあるのか薄々気付いた事だろう。
 「何とか人前に出せるレベルになりましたな」と主催者の弁。ああ、やっと寝られるか・・・。
 窓外が白み始め、落ち着く間もなく、やや?途中からフヂTVの取材陣が乗り込んできたぞ。大小カメラが数台、見たことのある 芸能レポーター、汚い風体のスタッフたち。
 「TVに映ってしまう!、寝顔を晒す訳には行かないっ!」。第一、インタビューが始まってしまった。
 レポーターのお姉さん、作り笑いがサマになってる。その厚い化粧が段々とこちらに近づいてくる。
 「ど・ど・ど・どうしよう?」「もっと良い服を着てくればよかった」
 「マイクが来る!」、「マイクが来る!」、「マ・マ・マ・マイク真木!」
 「真木ヒデト!」、「ヒデとロザンナ!」・・・・・・・?
 ついにレポーターお姉さんの残酷な微笑みが姉妹に向けられた時、姉妹は緊張の絶頂。何を聞かれたのやら、何を喋ったのやら、 今となっては何も覚えていない。
 ま、結果的にはこの2人の分はすっかりカットされ、いつしか陽も高く、一行は目的地・つま恋に到着したのだった。

 結局、本の内容に触れないうちに駄文が長くなってしまった。
 これは僕が高校生のとき一度兄から借りて読んだ記憶がある。当時は興味津々、相当面白いと思った。でも今更ねえ・・・・。
 コウタローの文章、上手くない。読んでて疲れる。自分のことは棚に上げておくが、文筆業には向かない。とうとう半分読んだ ところで挫折。ま、いっか。
 で、何でこの本を今手に入れ読み返したかというと、それは上の姉妹の帰りの車中でのエピソードが絡むのだが、そろそろ 年が明けそうなので、機会があればまた後日の紹介と言う事で。



タイトル 著者 出版社 発行年
旧約聖書を知っていますか 阿刀田 高 新潮社 91年初版
写真:「旧約聖書を・・・」表紙

 この春やっと、話題の「ダ・ヴィンチ・コード」を読んだ。その解説だか後書きだかに 「読んでみたら如何?」てな紹介があった。懐かしいと思い読み返してみた。
 シリーズのうち僕が読んだのはこれと「ギリシア神話を・・・」の2冊。「新約聖書を・・・」は今度文庫本でも 買ってみようと思う。
 長い事生きていると色んな雑学やら煩悩やらが堆積してくるが、それらはいつも断片的なものの集まりで、系統立てて 披露できるものではない。だから知識ではない。知恵に発展する事もない。
 ユダヤの神様の性分を知っていても、「十戒」の背景やその後に詳しくても、酒上の話題にも出来ない。しらふで自慢 げに話しても周りに嫌がられるだけ。
 他人様に迷惑を掛けないと自信があるなら、一度その聞齧り・読齧り・見齧りの欠片を整理してみる価値は あると思う。
 どうせそんなものは墓場にこっそり持ち込むしかないのだが、土中でこの身体を分解するにもいくらか早めに処理が 終わるんじゃないかと思うので。



タイトル 著者 出版社 発行年
破船 吉村 昭 筑摩書房 82年初版:同年初版第2刷
写真:「破船」表紙

 20年以上も昔の事か。当時、深夜に新刊本の紹介をするTV番組があり、そこで 数週間ベストセラーを続けているというこの本を知った。吉村昭を知ったのもこのときだろう。
 作者は淡々とした文体で衝撃的な歴史・事件等を描く。この物語も、まるで水墨画のような情景の極貧村で起こった 悲劇を語る。軍艦・無人島・監獄、閉ざされた社会を書くことが多が、これはまさしく密室社会の極限を映す無声映画だ。
 海辺の貧しい村。日本海の荒波。風に妨げられ耕地も育たない。村人たちはひっそりと、且つしぶとく浜にしがみつき、 いつ訪れるとも知れない「お船様」を待っていた。やがて待ち望んでいたそれを迎え入れたとき、言語に絶する惨劇が幕を切って落とす ことになる・・・。
 どちらかというとSF小説を中心に読んでいたものだから、これに出会い世界が開けた気がする。何度も読み返せるものなんて、 そう滅多には現れないのだが、この人は良い。二十歳そこそこの青年が入り込むには少し爺臭いかとも思ったが、僕を大分成長させて くれたと思う。大感謝。



タイトル 著者 出版社 発行年
くたばれ涙くん 石井 いさみ 秋田書店(SUNDAY COMICS) 70〜78年初版:全8巻
写真:「くたばれ涙くん」表紙

 不良少年:風巻 俊、ブラジル生まれのサッカー少年:チャ−ミー、教師:鬼子小百合、この3人 が物語の中心人物。鬼子の父親=敵役のコーチ、他に俊の育った施設「風の子園」の子供達が絡む。スポ根ものとしては 在りがちなパターン。
 チャ−ミーが死に、最後は風の子園を守るための試合で、俊もその人生を終えることになる。そして鬼子もかけがえの無いものを 亡くしたことに気付く・・・・。
 二十歳過ぎの頃まで大きな書店にあったのを覚えているが、四十過ぎたら流石に見つけるのが難しい。何も、目が悪くなった からではなくて、市場に存在しなくなっていたと言うこと。ところがある日、神田の街で見つけてしまったから大変。 8巻揃って1万円強だ。本屋と駅を10回くらい往復して、ついに買ってしまった。そういう時が人生には必ずあるのだ。
 ところが最近――物の価値を知らずに商売する奴、又それにむらがる奴が多くて困る。――近所に出来た大型古書チェーン店。 何と、1冊100円。あの「くたばれ・・」が100円!古くて汚いから100円だって! 僕が少年の頃から、何か胸に引っかかっていた「思い」、1万円の値打ちがあると思っていた感傷が100円×8巻=〆て800円!
 なるほど、こんなことも人生にはよくある。「くたばれ!涙くん」とは、良いタイトルを付けたものだ。



タイトル 著者 出版社 発行年
新世界遊撃隊 矢野 徹 角川文庫 76年初版:78年3版
写真:「新世界遊撃隊」表紙

 矢野徹氏の訃報が入った。10月13日が命日との事。
 数々の海外SF翻訳を手掛けその功績も大きいのだが、私にとってのSF開眼の書がこれ。
 めぐり合ったのは小学校の図書室で、確か鶴書房の「SFベストセラーズ」の一冊だったと思う。シリーズが あまり揃っていなくて、3・4冊を繰返し借りて呼んだ覚えがある。5・6年生の頃だったろう。(因みに、NHK 「タイム・トラベラー」に熱中したのが中学1年生の正月で、連続ラジオドラマ「日本沈没」に溺れたのがその翌年くらい。)
 「血沸き肉踊る」展開、スマートな文体。活字に飢えていた時期、これほど刺激的なものは無かった。 今読み返せば、「いかにもジュブナイル」でマンガ的な作品だが、20歳を過ぎて文庫本という形で再会できた。 嬉しかった。今も心が躍る。 矢野氏はベストセラー作家ではなかったが、味わいの深い、良心的な作品を残している。何より、氏無くしては 80年代以降のSF世界の隆盛はあり得なかったろう。
                         残念。合掌。



タイトル 著者 出版社 発行年
カノッサの屈辱   扶桑社 04年8月初版
(91年出版の復刻)
写真:カノッサの屈辱表紙

 下らない。本当に下らない。
 もう20年以上も前、深夜のTV欄に変な番組名があるのに気付いた。
 「カノッサの屈辱」。一応受験は世界史で臨んだ過去があるもので、恐る恐るチャンネルを回してみた。
 回してみたら、これが下らない。でも面白い。馬鹿らしい、でもチョッと勉強になる。しばらくはハマりましたね。
 何てったって「狩猟から稲作へ〜原始オーディオ文化の黎明〜」ですよ!

 いつの間にか番組も終わり、普通なら記憶の隅にも残らないのですが、ひょんなことから画像が手に入ったの です。最近のことですよ!
 仲谷昇が「ようこそ私の研究室へ」と言うんですよ!
 感激でしたネエ。MOVファイルで保管してますよ。

 更に、運命でしょうか、「fukkan.com」から連絡があり、めでたく復刊の運びとなったとの事じゃあないですか。
買わない手は無いですよね、買わない手は。
それが届きました。昨日届きました。
 読みはしないですよ、こんなもの。下らないんですから。持ってりゃあ良いんです。持ってりゃあ。青春という時代 の遺産なんですよ!青春は大事にすべき宝なんです。    以上。



タイトル 著者 出版社 発行年
異星の人 田中 光二 角川文庫 78年初版:79年3版
写真:「異星の人」表紙

 相当古い文庫本で表紙など大分傷んでいる。紙も徐々に醤油色が濃くなってきた。
 田中光二は文章が端整だ。ある時は新聞記事のように淡々と事実(?)を連ね、ある時は激情を抑えつつ状況を的確に伝えようとする。
 だからか、どの作品でも登場人物が「カッコ良い」。
 異星人であるジョン・エナリーを中心にこの連作集は話が展開するが、それぞれのエピソードの主人公は別にいる。
 彼らが非常にカッコ良く描かれているのだ。
 古き良き時代のヒロイズム、きっとそんなものが作者の精神に染込んでいるのだろう。

 ある時期から作風が変わった。宜しくない。論じたくないほど質が落ちた。
 見捨てたわけではないが、近年は作品を手にとることも無い。 好きな兄貴に裏切られたような気分。
早く昔の兄貴に返ってもらいたいものだ。



タイトル 著者 出版社 発行年
ま・く・ら 柳家小三治 講談社文庫 98年初版:99年11刷
写真:ま・く・ら 表紙

 小三治師匠は好きな噺家の中でもダントツのクラスに入りますね。
 「まくら」とは導入部。高貴なものから猥雑なものまで色々なものに例えることが出来ます。
 一つには「商談前の世間話」。アッシにとって最も得意の分野なんですな、これが。馬鹿ッ話で場が盛り上がっちまって、肝心の商いの話を忘れっちまうなんてえ事も珍しかあネエんで御座います。

 面白いのが、これ=落語のイントロ集を読んでいる人の表情。
 いつの間にか師匠のとんがった唇、とぼけた眼差し、ヌッと伸びた首筋、見事に形態模写(ある意味、憑依)が出来上がっているんです。
 きっとアッシもね、そうだったんじゃあないかと思うんですよ!

 この本を見つけたのは、何かの試験で富士山方面へ行ったとき。バスを待つ間の一瞬の出来事。アッシの人生は狂いましたね。2日間の試験中、ズーッと「偉大なる世間話」をやっちゃってたんですから。
 てやんでえ、ベラボーメィ!
 面接の最中なんか、完全な「与太郎状態」してるんですからね。「仮死状態」とおんなじ位の意味があるんですよ、競争主義社会の中では。お話にならないってヤツですね。

大分長くなっちまいましたね、結局本題に入れなかったッスけど、この辺で「お後が宜しいようで。」(お囃子)



タイトル 著者 出版社 発行年
100万回生きたねこ 佐野洋子 講談社 77年初版:92年47刷
写真:100万回生きたねこ表紙

 童話。それも割りと有名な童話。何でこんなものを私は持っているのだろう。
 二十歳過ぎのころ、浜小清水あたりのユースホステルで読み聞かせをしてもらった記憶があり、10年も経ってからどこかの本屋で見つけたとき反射的に買ってしまったのだと思う。
 家内が猫好きで、嫌がらせの意味でプレゼントしたような気もする。でもこの撮影のために、子供の本棚からこっそり持ち出したということは、このお話もきっと100万回くらい生きるのかな、と思う。誠に変な気持ちだ。

 カフカやマルクス、南海ホークスより難しい童話。
子供の純な心を失くしている私にとっては。



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